ゴルフ場が常時抱える悩みの一つに、こんなものがあります。
何か集客効果の高いイベントやキャンペーンが打てないだろうか…?
新規来場者の獲得、リピーターの来場促進、顧客の囲い込み、と言えば真っ先にここから取り組むコースは多いと思います。
そういった際に注意しておくこと、それが「当該企画の受け入れ体制が整っているか?」です。
あるゴルフ場の1コマ
新規の来場者を呼び込むため、全参加型のオープンコンペを開催しました。
お客様へのルール説明・プレー後の表彰式・会食・賞品…共に準備はすべて整っています。
フロントやレストラン等、関係部署へもコンペ内容と部署ごとの対応方法を連絡済み。
特にこれといったトラブルも無く、オープンコンペは終了しました。
しかし問題は次の日に発覚します。
このコースでは日頃からお客様アンケートを集計しており、今回は前日開催のオープンコンペ参加者がアンケートに答えていました。
ほとんどのお客様が「満足」という回答の中、ある1人の”声”が事態を一変させます。
Aさんの回答内容
コースも良かった。会食も美味しかったし、賞品が当たって嬉しかった。
でも次にまた行きたいゴルフ場だとは思わない。
…?どうしてだろう…と思われませんか??
ゴルフ場に概ね満足していると言われているにもかかわらず、また行きたいとは思わない。
気になったあるスタッフは、原因を探ってみました。
容易に解明できた訳ではありませんが、Aさんの同伴者からヒントを得たようです。
「Aさんは、せっかく来たのに何かガッカリだね~って漏らしてましたよ。」
よくよくこの同伴者様に話を伺うと、Aさんがこのようなアンケートへの回答を行なうに至った経緯が明らかになってきました。
Aさんの視点で当日の様子を振り返ってみると、このような感じでした。
自宅より程近いゴルフ場ながら一度も行ったことが無いコースで、今度オープンコンペが開催されるらしい。手頃なプレーフィで、会食や賞品までも用意されているとのこと。
友人らと予定を合わせ「どんなコースかな~」「入賞できるかな~」等、盛り上がりながら、参加を楽しみにしていた。
コンペの賞品内容は「豪華”海の幸”(当日のお楽しみ♪)」とあったので、当日チェックイン時にフロントで聞いてみた。
「今日のコンペって、賞品はどんなのがあるんですか?」
大いに期待している訳ではないが、目標があればプレーも俄然やる気が出てくる。
しかし、そんな思いとは裏腹にフロントのスタッフから返ってきた言葉はこうだった。
「賞品?あぁ~コンペのですか。さぁ~営業に聞いてみないと。呼んできますか??」
Aさんはこの返答を聞かれて、どのように感じられたのでしょうか。
- せっかく楽しみにしてきたのに、何かシラケてしまうな…
- 自分たちは安い客だし、あんまりゴルフ場サイドは良く思っていないのかな…
- わざわざ賞品のことで営業マンを呼ぶなんて、軽く聞いただけなのに恥ずかしかったな…
多くの方は、フロントスタッフの応対に問題有り!と思われたかもしれません。
事前に、コンペに関しての通達が関係部署へ連絡されていたはずですから。
でも今回のケースですと、単にフロントスタッフの問題だけでは済まない可能性もあります。
考えられるのは…
本当の意味で「受け入れ体制」が整っていたかどうか
イベント開催前の伝達事項は、確かに関係部署へ連絡されていました。
しかし、この企画自体の背景まで周知されていたのかというと、そうではなかったようです。
- なぜ今回の企画が持ち上がったのか?
- 来場されるお客様はどのような気持ちで来られることが考えられるか?
- 予想できる範囲で、どういった対応をすれば喜ばれるのか?
こういった詳細までを伝達・共有しておくことは、企画を本当に成功させる”要”となります。
各スタッフのスキルに任せているから…というのは、まだ先のステップだったかもしれません。
ゴルフ場の集客企画は、お客様だけに届けるのでは足りないことを改めて考えさせられる事例ですね。






